企業規模は投資リターンにどれほど影響するのか、ETFで検証

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キャップ(企業規模)別比較
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米国株における企業規模は株価のパフォーマンスにどのような影響を与えるのか、ETFを使って比較してみましょう。

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CRSP USインデックス

今回は2種類のETFを使ってみます。1つはバンガード社のCRSP US・ラージ・キャップ・インデックスに連動するVV、同じくミッド・キャップに連動するVO、スモール・キャップ連動のVBで比較してみます。もう1つは小型株指数として有名なラッセル2000を、大型株を集めたラッセル1000と比べます。
まずはVV、VO、VBの比較から。

2021年上半期

緑はVOO、青はラージキャップ、黄色はミッドキャップ、黒はスモールキャップ

基本的には似た様な動きをしていますが、2021年上半期は特に小型株の上げ下げが大きく出ています。上がるときも大きいですが、下がる時も大きく、特に下がった時は他のETFとパフォーマンスが同じくらいになってしまう所もあるようです。そしてもう一つ気になるのがチャートの最後のところ。大型株のVVや中型株のVOが上がっているところでありながら、小型株のVBは下がっています。今年度には見られなかったパターンですね。小型株は炭鉱のカナリアに例えられることもあるようですが、これが何か変調を表すのか…今後も気になるところです。

続いて2020年を見てみましょう。

2020年

緑はVOO、青はラージキャップ、黄色はミッドキャップ、黒はスモールキャップ

2020年は11月までの傾向として大型株>中型株>小型株の順にパフォーマンスが良かったようです。新型コロナウイルスに振り回された一年でしたが、その中ではGAFAを筆頭に大型株が順調に成長したようですね。最後の1か月は小型株が上昇のピッチを上げ、中型株を追い抜いています。それが先ほどの2021年の小型株アウトパフォームにつながっていくのですね。

最後に2019年はどうでしょうか。

2019年

緑はVOO、青はラージキャップ、黄色はミッドキャップ、黒はスモールキャップ

2019年は5月ごろを境に変化が見られます。

前半の頃は小型株指数であるVBがアウトパフォームしています。しかし、5月の下落を境にまず中型株(VO)が堅調になり、10月からは大型・中型では差異がほとんどなくなっています。その間小型株はパフォーマンスが劣後してしまっています。

CRSP USインデックスの比較では、大型株・中型株・小型株のパフォーマンスの優劣はつけられず、その時期その時期でどれがアウトパフォームするか変わるようです。ただ、ボラティリティについては基本的に小型株>中型株>大型株という傾向があるようです。

ラッセル指数

続いてラッセル2000について見ていきましょう。

ラッセル2000に連動するETFはやはりバンガード社からVTWOというのが出ています。

比較対象はラッセル1000(VONE)にしました。
ラッセル1000は少しマイナーな指数なので説明を加えると、そもそもラッセル指数はラッセル3000という米企業のうち時価総額上位3000社からなる指数があります。これが米国企業の98%をカバーするので、ほぼ米国企業全体に投資する指数と捉えていいと思います。それらの3000社のうち、上位1000社を集めた指数がラッセル1000、下位2000社を集めた指数がラッセル2000になります。なのでラッセル2000は中・小型株の指数として認識されています。

さて、その比較ですが、まずは2021年の上半期から見てみましょう。

2021年上半期

緑はラッセル1000、青はラッセル2000

CRSP USインデックスと同様、年初から小型株を組み込んだVTWOの方がパフォーマンスが良いですが、最後の数日でVTWOのパフォーマンスがVONEのパフォーマンスに劣後してしまいました。これが何か変調を表すのかどうか、これから少し注意してみていく必要がありそうです。

続いてコロナ暴落のあった2020年の比較です。

2020年

緑はラッセル1000、青はラッセル2000

こちらもCRSP USインデックスと同様コロナの暴落をより大きく受けるのは小型のVTWOの方で、一年の大半で青のラインが下になっています。しかし、11月頃から上昇の速度が上がり、最後はVONEに肉薄しています。

では2019年度はどうでしょうか。

2019年

緑はラッセル1000、青はラッセル2000

こちらも年初はVTWOの方がパフォーマンスが良かったものの、その後はVONEに追い抜かれています。そしてこの2年半に共通することはVTWOの方がボラティリティが高いこと。これは変わらぬ傾向としてあるようです。

以上みてきたように、基本的にはパフォーマンスはその時期の状況により優劣つけがたい結果になりました。ただ、ボラティリティに関しては基本的には小型株の方が高いことも分かりました。使い方としては危機による暴落時に小型株を仕込んで大きく反発するところを取りにいく、といった使い方になるのでしょうか。

ちなみにこれはすべて米国株での結果。GAFAMに代表されるスーパー企業が大型株をけん引しているという事実は見逃せません。これが日本株となると強烈なパフォーマンスを発揮する大型株が少なくなるので結果もまた変わってくるかもしれません。個人的には日本の小型株への長期投資は大好きだったりします。

他の比較も行っていますので良ければどうぞ。

2021年上半期の米国株、グロース株とバリュー株の勝敗は?昨年と逆転?

2021年上半期のGAFAMTのパフォーマンスは?一部はS&P500指数を下回り明暗

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