スコッチウイスキーのシングルモルトをある程度飲んだところでチャレンジしたいのが独立系ボトラーズによるウイスキーです。スコッチ特有のこの文化とおすすめの独立系ボトラーズウイスキーについて紹介します。
独立系ボトラーズとは
独立系ボトラーズ(independent bottlersインディペンデントボトラーズ)とはウイスキー原酒を樽ごと買いつけ、独自にボトリング(瓶詰め)をして販売する業者です。一般的なシングルモルトは蒸留所が瓶詰め行程まで行いますが、スコットランドでは瓶詰め前の原酒を樽ごと他社に販売する文化があるようです。独立系ボトラーズはそれらの原酒を買取り、独自にボトリングをして販売します。あえて蒸留所が出さないようなブレンディングや熟成年数のウイスキーを世に出すことで、ウイスキーの幅を更に広げることに一役買っている存在です。ちなみに独立系ボトラーズに対して蒸留所が瓶詰めしたウイスキーをオフィシャルボトルと呼びます。オフィシャルが狙わないニッチな世界に果敢にチャレンジする独立系ボトラーズ、なかなかの面白企画もあります。
シングルモルトなのにあえて隠す!それを暴く!
ボトラーズブランドは流通量が少ない変わりに値段が高めというイメージがありましたが、決してそうではありません!
遊び心溢れ、かつ手頃な値段で楽しめるウイスキーも登場しています。例えばフィンラガン・オリジナル・ピーティはアイラモルトをボトリングしたもの。シングルモルトであることは明かされていますが蒸留所の名前は伏せてあります。
シングルモルトなのにあえて名前は隠すという、シングルモルトを根本を揺るがす発想のようですが意外にも多方面にメリットがあります。
まず何より消費者には安くアイラモルトを飲む機会が与えられます。1本2,000円ちょっとでアイラモルトが飲めるなんて、考えてみればすごいことです。
ボトラーズとしては自分達の商品の敷居を下げ、多くの消費者にアピールできます。また蒸留所にとっても熟成年の若い原酒を現金化する機会になっていると思われます。
スコッチのシングルモルトは熟成年の若いものでも10年は寝かせますのでその間に一部でも現金化できるのは事業存続の上でもメリットだと思います。
ちなみにフィンラガンはカリラ蒸留所の原酒が使われていると推測されているとか…隠そうとすれば暴こうとする人がいるんですね。笑
商品名のアイリーク(イーラッハ)とは「アイラ島民」を意味しているようです。蒸留所の名は明かされておりませんが、ラフロイグかラガヴーリンの若いものではないかといわれています。
アイラの嵐を意味するアイラストームはヘザーや潮の香り、バニラの香りなどが感じられる逸品です。
蒸留所の名を冠したボトラーズブランド
独立系のウイスキーで蒸留所の名前を冠しているものもあります(むしろそちらが主流。笑)。オフィシャルボトルでは味わえない熟成年のものもあり、好きな蒸留所の違った側面を見ることができる可能性があります。
独立系ボトラーズの老舗と言えばゴードン&マクファイル社です。そこが出すグレンリベットは1樽から限定157本!究極の少量生産ですね。
ちなみにゴードン&マクファイル社は老舗と言うだけあって1930年代の樽もまだまだストックしているとか。今開けても90年物ですか…どのタイミングでそれが市場に出回るか、今後がさらに楽しみです。
同じグレンリベットをシグナトリー社が瓶詰めするとまた違った一本になります。1つの蒸留所の酒を何度も楽しめるのは独立系ボトラーズ独特の楽しみ方ですね。
ベンリアックもゴードン&マクファイル社でボトリングされています。オフィシャルボトルとはまた違った一面を見せてくれそうです。
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