企業買収の落とし穴?バークシャー・ハサウェイが企業買収をするときに気をきけること

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皆さんは企業買収や資本業務提携と聞くとどんなことを連想しますか?買収するからには大きく成長しそうとか、買収される企業の株を持っているとプレミアムが上乗せされてラッキーとか…わらびーも持ち株のぐるなびが楽天と資本業務提携したり、セプテーニ・ホールディングスが電通と資本業務提携したりと夢が見られそうな組み合わせにワクワクが止まらない…!(なお、両社とも自分の買値よりも株価は大幅安…これで復活してくれ)なんて思ってしまいがちですが、バークシャー・ハサウェイ率いるウォーレン・バフェットは企業買収には落とし穴があると言います。

問題はそのプレミアム

落とし穴の主たる原因はプレミアムにありますが、そもそもプレミアムとは何なのか…

上場している企業であれば日々の株価をもとにその企業全体の価格、株式時価総額が算出できます。その時の会社の値段のようなものです。それに対して企業買収をするときにはプレミアムと呼ばれる上乗せ料金が発生することがあります。例えば時価総額80億円の企業を100億円で買収すると、差額の20億円がプレミアムになります。

なぜそんなことをするのかというと公開市場で株価が低いからといって、例えば発行されている株式の2割を買おうなんてすると自分で株価を釣り上げてしまう…なのでその分をプレミアムで支払う、とか、今後業務提携していく中で円滑に関係が進むように、とか、理由はいろいろだと思います。

なお、超レアケースになりますが、スカラがソフトブレーンの株式を株式市場を通じてコッソリ50%以上買うなんてケースもありました。理論上不可能ではないけど非常にまれなケースとされ、買い上げる過程で5営業日連続でソフトブレーン株はストップ高…プレミアムは払っていないけど、当初の株価以上の価格を支払うことになりました。しかも一時ソフトブレーン側が態度を硬化するなど副産物も…

株主は戸惑いと喜びで一杯だったことでしょう。笑

なぜ経営者は割高な企業を買うのか

以上見てきたように企業買収や業務提携は一見割高な価格を支払わなければならないわけですが、なぜそれでも買収しようとする経営者が多いのか…バフェットは1981年の株主への手紙で、経営者特有の3つのバイアスに注目しています。

まず第一はアニマルスピリットの強さ。経営者たるものアニマルスピリット(野心的意欲)がないといけないわけですが、総じて強すぎると。その結果、より大きく行動し、試練も必要以上に抱え込む傾向にあるとバフェットは推測しています。

第二に売上高至上主義。フォーチュン500の企業経営者に「何位ですか」と聞けば必ずといっていいほど「売上高順位」を答え、「では利益率の順位では?」と聞くと答えに窮する人がいるとバフェットは述べています。

そして第三にはバフェットらしく、カエルの王子様を使って説明。以下のように述べます。

(3) Many managements apparently were overexposed in impressionable childhood years to the story in which the imprisoned handsome prince is released from a toad’s body by a kiss from a beautiful princess.  Consequently, they are certain their managerial kiss will do wonders  for the profitability of Company T(arget).

ウォーレン・バフェット、株主への手紙1981

多くの経営者は多感な子供時代、カエルが美しいお姫様にキスされてハンサムな王子様に戻るというお話に明らかに触れすぎている。その結果、彼らの経営というキスが被買収企業の利益率に奇跡を起こすことを確信している。

つまり自信過剰と…今までの経営者はダメだったけど、オレならなんとかできる!と思いすぎている経営者が多いという点を挙げています。続いて

Such optimism is essential.  Absent that rosy view, why else should the shareholders of Company A(cquisitor) want to own an interest in T at the 2X takeover cost rather than at the X market price they would pay if they made direct purchases on their own?

ウォーレン・バフェット、株主への手紙1981

そのような楽観が問題の本質です。もしそのようなバラ色の見通しが無ければ、なぜ買収企業は直接市場で買い付ければXという価格で買える被買収企業を2Xの買収額を払って持ち分を得ようとするだろうか。

と額が大きすぎるプレミアムには懐疑的な立場をとっています。そして最後はこう締めくくります。

In other words, investors can always buy toads at the going price for toads.  If investors instead bankroll princesses who wish to pay double for the right to kiss the toad, those kisses had better pack some real dynamite. We’ve observed many kisses but very few miracles.  Nevertheless, many managerial princesses remain serenely confident about the future potency of their kisses – even after their corporate backyards are knee-deep in unresponsive toads.

ウォーレン・バフェット、株主への手紙1981

言い換えれば、投資家はカエルをカエルの価格で買うことができる。もし投資家がカエルにキスする権利に対して2倍の額を払おうとするお姫様に融資をするのであれば、それらのキスには本当にダイナマイト級の恐ろしいものを含んでいなければならない。私たちは多くのキスを見てきたが、奇跡はほとんど見たことがない。しかし、多くの経営のお姫様は落ち着き払って将来のキスについても自信を持っています。彼らの企業のバックヤードに無反応なカエルが膝丈まで溜まっていてもです。

そこまで他社のM&Aをこき下ろしているバフェットですが、自分の行うM&Aについてはどうでしょうか。カエルの王子様にかけてこんな面白い表現をしています。

We have tried occasionally to buy toads at bargain prices with results that have been chronicled in past reports.  Clearly our kisses fell flat.  We have done well with a couple of princes – but they were princes when purchased.  At least our kisses didn’t turn them into toads.

ウォーレン・バフェット、株主への手紙1981

我々は時々カエルをバーゲン価格で買おうとし、その結果は過去の報告書で書いてきたとおりです。明らかに我々のキスの結果はトントンでした。何人かの王子様では非常にうまくいきましたが、その企業は我々が買った時点からすでに王子さまでした。少なくとも我々のキスが王子様をカエルにしてしまたことはありませんでした。

バフェットにとっては、うまくいった企業はあくまで買った時点ですでに素晴らしい企業だったということですね。この謙虚さはバフェットの魅力でありますね。

M&Aを行うこと自体は業界の再編など新たな動きを引き起こすことになり、ワクワクするような展開になります。しかし、もしM&Aをしかける会社に投資を考えるなら、適切な価格で行っている企業を積極的に探していきたいですね。

バフェットの名言まとめ

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