バフェットは自社株買いをする企業が好き
バフェットについての書籍を読んでいるとよく自社株買いについて言及するところを見かけます。バフェット曰く自社株買いをする企業は投資先として魅力的、と。
その理由はなぜでしょうか。過去の株主への手紙で自社株買いを好む理由について、こんなことを述べています。
The reasoning is simple: if a fine business is selling in the market place for far less than intrinsic value, what more certain or more profitable utilization of capital can there be than significant enlargement of the interests of all owners at that bargain price?
ウォーレン・バフェット、株主への手紙1980
理由は単純です。もし良好な事業の株がその内在価値よりはるかに低い価格で売られているとしたら、そのバーゲン価格ですべてのオーナーの利回りを上昇させる以外に一体どのようなより確実で利益をもたらす資本活用があるでしょうか。
つまり資本を効率的に使っていく方法として、もし自社株が不当に安く売られているなら、それを買い一株当たりの利益を増大させることが他のどの資本活用よりも有効であるということですね。
半面、バフェット自身はバークシャーの自社株買いをしない
その反面、バフェット自身は経営するバークシャー・ハサウェイ社の自社株買いをほとんど行っておりません。また、最近は魅力的な投資先も無いということで、手元資金が積みあがっておりそれが原因で非難されることもあるようです。巨額資金の一部をVOOなどETFにも振り分けるようになったバフェット、今後は大規模な自社株買いなどを行う可能性はあるんでしょうか。
それにしてももし投資の神様と呼ばれるようなバフェットが自社株買いをするようなことになると、それは現金を株主に返すことになるので「バフェットが見つけられなかった投資機会をバークシャー・ハサウェイの株主が見つけて投資するよう資金を預ける」ことを意味します。自社株買いを通して資金を返される株主も大変ですね。笑
最近語られる自社株買いの功罪
株主の視点からすると、配当金は課税されるのに対し自社株買いの結果株価が上昇したとしてもその株を売却しない限りは課税されることがないため、配当よりも自社株買いを好感するということもあるようです。

しかし、最近は低金利から社債などで借入を増やし、その一方で自社株買いを積極的に行う企業が出てきていました。そのような企業は言わば借金をして自社株買いをしているようなもの。平時はそれでうまくいっていましたが、Boeing(ボーイング)などコロナウィルス蔓延の影響でピンチを迎えると手元資金が十分ではなく倒産の危機にさらされたところもありました。
また、自社株買いによる恩恵はその株を持っている株主だけが受けるため、格差拡大の原因にも挙げられています。日本ではROE改善のための一案として注目を集め始めていた自社株買いでしたが、逆にROE経営が浸透しているアメリカではより広範なステークホルダー全体に恩恵のある企業経営に注目が集まっています。日本がアメリカ寄りに、アメリカが日本よりに改革をしているということですね。

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