レバレッジ系の投資商品が長期投資に向かない本当の理由

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レバレッジをかければ効率よく運用ができるが…

自分の資金にレバレッジ(てこ)の力を加えて運用することで、少ない資産で多くの利益を得る…お金持ちが好む方法として紹介されたり、金持ち父さん貧乏父さんのロバート・キヨサキもレバレッジの力を本で力説したり…何かと魅力的に描かれるレバレッジの力ですが、正直なところ長期投資にはあまり向いていないという感覚がありました。ただ、その要因が何なのかは自分の中でも漠然としており、「投資商品にするとコストが高くなる」くらいにしか思っておらず、いざ株価が上がると「多少高コストでもレバレッジが効いていたらもっと手に入ると思うと…」と手を出したくなるような場面もありました。

しかし、今回のコロナウィルス禍で自分が漠然と思っていた理由が明確になりました。

コロナウィルス禍で影響を受けたレバレッジ系商品

コロナウィルス禍で話題になったレバレッジ系の商品として「 グローバル3倍3分法ファンド」が日経新聞に取り上げられました。詳しい解説はリンク先に任せるとして、ざっくり言うと資産の80%を現物資産で分散、先物取引を使って220%分の取引を同時に行うというものです。株・不動産・債券に分散させて運用するため低リスクながらレバレッジを効かせて高リターンというわけです。

しかし、今回の暴落では株価指数を超える下落をしてしまいます。その原因は「株も債券も金も売られた…その時買われた第4の資産とは?」でも書いた通り、複数の資産が同時に暴落することに対応できなかったからでした。

もう一つ話題になったのがDirexion社の3倍ETFシリーズです。ロイターでは多くの投資家に適していないと紹介していたところ、コロナ暴落のダメージを増幅し、大きく下落しました。それもあってか、一部のETFを3倍→2倍にレバレッジ比率を下げることに。一番オーソドックスなS&P500の3倍ブル、3倍ベアであるSPXL, SPXSは比率を下げずに残っているようですが、こちらも今後に注目です。

レバレッジで痛手を受けるのは人間の能力を超えているから

これらのレバレッジ系商品が突如牙をむくのは人間がレバレッジという魔物を十分に手なずけられていないことが挙げられます。我々の創造力はどうしても過去の出来事ベースでしか働かず、それも楽観的過ぎるというか、正常バイアスと呼ばれるような不都合な情報を過小評価する特性があります。

例えば今から一年前、ちょうど改元されたあたりで「パンデミックが起きて学校が閉鎖されるような事態になったら」とか「原油先物がマイナスになったら」などというシミュレーションをどのくらいに人がやっていたか…一年前にそんなこと言っていたらむしろ変人扱いされていたでしょう。このように我々が未来を正確に描けない以上、どれほどその時の時点で丁寧に制度設計したとしても、不測の事態は必然的に起きてしまい、その負の影響がレバレッジの力で増幅されるということは避けられないように感じます。バフェットも金融派生商品についてはこのように述べています。

Derivatives are financial weapons of mass destruction.

ウォーレン・バフェット

金融派生商品は金融の大量破壊兵器だ。

レバレッジ商品ではありませんが、VIXインバースETNなんていう商品も過去にはありました。こちらもやはり不測の事態とともに早期償還されました。

バフェットの言葉を借りれば”anything can happen in terms of markets.”(市場ではいかなることも起こる可能性がある)わけですが、それを見通せない以上、レバレッジを大きくかけることはカバーしきれないリスクを抱え込むことにつながってしまうと思います。

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