日本でもインフレの話が出てくるようになりました。中にはステルス値上げなど実感がわかないような形でモノの値段が上がっているところもありますが、そもそもなぜインフレは起こるのでしょうか。
その原因は需給の不均衡にあります。バフェットが簡単な例を出して説明しています。
The rub has been that government has been exceptionally able in printing money and creating promises, but is unable to print gold or create oil.
ウォーレン・バフェット、株主への手紙1979
問題は政府が例外的にお金を刷って約束を作り出すことができても金を刷ったり原油を作り出したりすることができない点にあります。
政府がお金を作り出すのに対して、それに見合う金や石油は作り出されない。金とお金、石油とお金の間の需給関係が緩み、多くのお金を払わないと現物資産が買えない…これがインフレが起きている状態です。
1979年のアメリカは恐ろしいインフレに見舞われ、バフェットも「株主悲観指数」なんて新たな指標を作り出し、リターンの本当の価値が何であるか言及しています。

自分に不利な話でも役に立つと思えば丁寧に説明してしまう…これがバフェットの人間性であり好かれる理由でもあると思います。
ちなみにバフェットはインフレに強い企業の特徴として、以下の2点を挙げています。
Such favored business must have two characteristics: (1) an ability to increase prices rather easily (even when product demand is flat and capacity is not fully utilized) without fear of significant loss of either market share or unit volume, and (2) an ability to accommodate large dollar volume increases in business (often produced more by inflation than by real growth) with only minor additional investment of capital.
ウォーレン・バフェット、株主への手紙1981
そのような(インフレに強い)事業は以下の2点の特徴を持っていなければなりません。(1)(製品への需要が旺盛でなく生産能力を最大限に活用していないときでさえ)市場シェアまたは単位売買高を大きく落とす心配なく価格を上げやすい(2)少ない追加投資で事業のドル換算の取引高増加(主に成長によってではなくインフレによって引き起こされる)に対応できる能力。
(1)はインフレによって上昇したコストを価格に転嫁しやすいという性質、(2)はインフレによって損益分岐点もハードルが上がるので、それを超えるのに少ない資本で乗り越えられるかどうか、といったところでしょうか。どちらの性質も今後の日本株を物色する際には気を付けたいポイントですね。

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