2020年、スレイマニ氏殺害でアメリカ・イラン間に緊張が走っています。その後大規模な軍事衝突は避けられそうな見通しで、いったん市場は落ち着いていますが、間違いなく2020年のリスク要因の一つに数えられるようになるでしょう。
そもそもアメリカとイランはなぜ関係が悪いのでしょうか。
キッカケはイラン・イスラム革命・アメリカ大使館占拠事件
そもそもイランは親米政権が存在していました。しかし、アメリカが石油の利権を確保しようとした時にイラン国民の間で不満が高まり親米政権が1979年に打倒されました。
同じく1979年、イランのアメリカ大使館が400日以上にわたり占拠されてしまいます。
この二つの出来事がキッカケでアメリカ側にもイランは信用できないというイメージがついてしまいます。
オバマ政権時のイラン核合意で歩み寄り
その後はイランが核開発を進めるなどして関係は悪化するばかり。ブッシュ政権時にはイラン・イラク・北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しするなど険悪ムードが続きます。
関係が改善したのはオバマ政権時。イラン核合意に至り、イランが核開発を制限する代わりに制裁を解除することに合意しました。これはオバマ政権のレガシー(政治的遺産)の一つに数えられるほどの大きな出来事でした。
すべてをひっくり返すトランプ政権
しかし、これがトランプ政権になると、方針が180度転換されます。そもそもトランプ大統領はオバマ元大統領が大嫌い。オバマ政権で決定したことをことごとく反故にしていきます。
一説によるとトランプ大統領がまだ大統領になる前に「俺は大統領になれる」的なことをオバマ大統領の前で話したところ、オバマ大統領が冗談だと思って笑ってしまい、トランプ氏の怒りを買ったとか…
それ以来、トランプ氏はオバマ元大統領の民主党に対抗する共和党候補として大統領選に出馬して大統領になることが目標になったとか…もしこれが本当なら国のトップを選ぶのに私情挟みまくりの感がいなめませんが…
そうやって大統領になったトランプ氏ですから、TPPやオバマケアなど、オバマ政権のレガシーを次々と破壊していきます。イラン核合意も例外ではありませんでした。
イランはイランでせっかくの合意を反故にされたわけですからまたまたアメリカに不信感を抱くことになります。こうしてまたアメリカとイランの間は緊張が高まっていったのです。
過去にあったことは変えられないのでそれはそれで、ぜひ両国には未来を見据えた建設的な議論をしてもらえればと思います。
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