「個人投資家が運用のプロが投資する投資信託に勝てるわけがない。」もっともな気がします。わらびーも投資を始めたばかりの時はそう思い、資金の一部を投資信託にも回していました。しかし、色々と調べる中で、投資信託の運用もいろいろと制約があって大変だな、と思うようになりました。そのような制約がない個人投資家はある意味有利な立場にあります。以下にまとめてみます。
①投資信託を運用するには運用方針がある。
まず、投資信託は人様から大切なお金を預かり運用していくわけですから、どうしてそのような対応をしたのか毎回説明責任が伴います。特に損をしたときは最悪訴訟問題にもなるので、厳密な運用方針を策定し、それに沿って資産を運用することになります。つまり、どんなに素晴らしい会社を見つけてもそれが運用方針に合わないとなると投資することができないのです。
その点、個人は自分がルールブックです。いいと思ったら買う、それだけです。
②ある程度の規模の企業でないと売買できない。
投資信託は大きな資金を動かすので、売買対象とする企業も規模が大きくないと(そして取引されている株の量が多くないと)株価を乱高下させてしまい、問題になります。取引数量の少ない銘柄にまとまった注文を入れると自分で値段を釣り上げてしまい割高な取引になりますし、派手にやりすぎると相場操縦(金融商品取引法で刑事処罰の対象)を指摘されてしまいます。
そうなるとこれから成長著しいと思われる中小型株よりもある程度成長して規模が大きくなった企業が売買対象となり、成長期の企業を買うことができない場合があります。
③組み入れていた銘柄が運用方針から外れたら売却しなければならない。
様々な制約をクリアし、投資した銘柄もいつまでもその基準に留まってくれる保証はありません。その企業が損失を出すなどして運用方針から外れてしまう場合、株式を一斉に売却しなければならない事態も発生します。その場合、少しずつ売って株価を下げないようにしたいところですが、ほかの投資信託からまとまった売り注文が出る可能性もあるので悠長にしてもいられません。そうなると損失覚悟で一気に売る場面もあります。株価のストップ安は上記が原因となっているものもあります。
④特定の(短)期間ごとに利益を出さないといけない。
資金を集めるうえで運用成績は重要になります。そのため、運用者は四半期などの比較的短期間で利益を得続けなければならないというプレッシャーにさらされます。セル・イン・メイと呼ばれる5月に起こる株価の急落(アノマリーの一つ。アノマリーとは「理由はよく分からないけど、でも起こるよねー」的な現象)も一説によると投資信託などファンドの決算期前の利益確定売りが一因ではないかとされています。
⑤株高で資金が集まると割高な株でも買わなければならない。
運用成績が良くなると投資信託として人気が出て資金が集まります。しかし、運用成績がいい=株が値上がりしたということなので、後から集まった資金を運用するにはすでに値上がりした株を買い増すか、別の投資先を発掘しなければなりません。
⑥株安で資金が逃げると割安でも売らなければならない。買い増しどころじゃない。
そして株安が到来すると場合によっては絶好の買い場にもなるのですが、そういう時に限って投資信託の解約も多くなります。なので買い場で資金流出が起き十分に投資できなかったり、最悪の場合株価が下がっているのに払い戻す現金を確保するために持ち株を売らなければなりません。
⑦運用手数料が引かれる。
最後に投資信託には手数料がかかります。マネージャーや運用会社の利益はファンドの利益(利益が出なければ元金から!)差し引かれています。その分パフォーマンスが下がるので個人で投資する場合はスタートラインから有利になっています。試しに年間の経費率がどのくらいパフォーマンスに影響するか、見てみましょう。

青線(隠れててほぼ赤線ですね…)が指数そのものの動きですが、年間経費率が1%だと緑のパフォーマンスになります。経費率1%は結構パフォーマンスを毀損することになります。
以上のような制約をはねのけて指数を凌駕するパフォーマンスを発揮している投資信託は全体の2割ほど。投資信託の世界も大変ですね。
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