有形固定資産の取得による支出を見るときのポイント

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財務諸表の項目
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さて、いよいよキャッシュ・フロー計算書の重要ポイントを見ていきます。

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有形固定資産の取得による支出 は遠い将来を見据えてするもの

有形固定資産の取得による支出はざっくりいうと事業をするための先行投資にあたる部分です。有形は見るけど無形の方は見ないのか、など突っ込みもありそうですがそこには理由があります。有形固定資産を多く抱えながら事業を続ける企業はどうしても将来の需要予測をしながら投資を続けなければならず、予測を外したときの損失など特有のリスクを抱える傾向があるという点です。

需要予測が必要になるワケ

例えば自動車産業では車を作ろうと思ってすぐスパナとレンチだけで作業を始められるわけではありません。まずは工場の生産ラインを確保して、その上で生産台数を計画しながら作っていきます。

生産ラインをフル稼働させても生産が追い付かない場合はどうするでしょうか。作れば売れる状態なのですから工場を拡大してでも生産能力を大きくしたいと思います。そこで新たな工場を建設します。 工場だって作ろうと思ってすぐにできるものではありません。つまり、今は作れば売れる状態ではあるものの、新工場を建設するかどうかは何年か後の需要を予測しながら判断をせざるを得ません。

新工場の用地を確保し、建設し始めてから景気が冷え込んだり、急にその車の人気がなくなるなど外的な変化が起こることも0ではありません(2020年はまさにそんな感じですね。)。フォードのメキシコ工場建設中止に至っては政治的な要因ではないかと推測されています。

有形固定資産に多くの資金を振り向けないと事業ができない業種はどうしても未来予測をしながら事業を行わなければならず、予測を外して工場建設などを中止をした時のロスも大きくなります。

最近の自然災害は有形固定資産を持つリスクにも

また、近年日本では自然災害のニュースが毎年流れてきます。有形固定資産を作って事業をすることは自然災害で工場を失うリスクもあるという点は肝に銘じておかなければなりません。

以上のようなことを考えた結果、わらびーとしては有形固定資産の取得額が純利益の半分くらいに収まる企業を探すようにしています。

ファブレス企業・ハイテク企業の台頭

もちろん自動車産業のような大きな工場を建て、たくさんの従業員を雇う企業は雇用を作り出し、多くの人を幸せにしています。昔からある大企業は労働集約型の企業が多く、企業が繁栄するためには多くの従業員を抱えてみんなで豊かになっていきました。そういう意味では比較的格差が小さくなりやすい傾向がありました。

その一方で最近は比較的少人数でアイディアを出して勝負し、生産などはほかの工場に委託するファブレス企業や、そもそもアプリなど複製に工場が全く必要のないIT企業などが台頭してきています。GAFAMに代表される米国のハイテク企業はそのような側面が強いです。

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これらのような企業はそれほど固定資産には投資をしないで利益を稼ぎ出しており、その分ほかのところで資金を豊富に使えるメリットを有している点は調べておいて損は無いと思います。

以前はITには投資をしないと明言していたウォーレン・バフェットもIBMやアップル、アマゾンなどにも投資資金を振り向けてきました(このうちIBMは2017年に撤退。アップルやアマゾンは今のところ順調?)。

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今後もこう言った企業が一定の強みを見せるとともに、スクラップアンドビルドの激しい米国では引き続き次のGAFAを産むべく生き馬の目を抜くような戦いが続いていくものと思われます。

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