負債合計を見るときには純資産に対しての割合を見ていきましょう。全体的に言えることですが、売上高や資産、負債の数字の大小だけではなかなかその企業の本質が見えないものです。売上高に対してどれだけ利益が残るかとか、資産と負債の割合がどうかとか、他の数字との兼ね合いを見て初めてその企業の真の価値が見えます。この割合に注目することで有名ではないものの業績の良い中小型株を見つけることが可能になります。
負債合計については、具体的には負債比率を計算します。負債比率は負債合計÷純資産合計で出します。純資産=資産合計-負債合計なので、企業が事業を行うために買った資産のうち、負債比率でどの程度の資産を自分の資金=純資産で賄い、どの程度を負債で賄っているかが分かります。
探したい企業は負債比率0.8以下を一つの基準にしましょう。つまり資産のうち6割は自分で用意して残り4割は負債に頼っているイメージです。聞いたイメージでは「そんなに負債に頼っていいの」と思う人もいるかしれませんが、実際にはかなり少ない数字です。というのも多額の設備投資が必要な企業だと純資産の何倍、何十倍と負債を借りて事業を行っているからです。気になるようなら自動車産業の企業などの負債比率を見てみてください。
負債比率が高い企業だと大きな事業環境の変化への対応が難しくなる場合があります。2020年に入って起きた新型コロナウイルスの流行は事業環境を変えるインパクトがありました。このような変化を事前に予想して設備投資をしていくのは難しいため、多額の設備投資をして事業を運営していく企業はその分リスクが高いと言えます。特に長期投資をしていく場合はこのような不測の事態が10年に1回は起きるものですので、そんな時にも柔軟に対応できる企業を選ぶ必要があります。
ただ、負債比率の見方には一点注意が必要です。しっかりと利益を出している企業はだんだん純資産を必要としなくなり、自社株買いなどで還元することで純資産を少なくすることもあります。特に米国企業は純資産が膨らむことを嫌い(純資産が大きくなるとROE低下を招くため)、かなり大胆な株主還元を行うことで純資産を圧縮するようになります。そうなると結果的に負債比率は上昇してしまいます。
なので企業を選別する際はあくまで一つの基準とし、もし負債比率が急に上昇した場合はそれが純資産の減少によるのか負債の増加によるのか見極める必要があります。米国企業が好きな自社株買いの功罪や、過剰配当の問題は別途記事をまとめてみましたので合わせてご覧いただければ幸いです!
バフェットは自社株買いをする企業を狙う!?自社株買いの功罪とは
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